粉瘤・皮膚腫瘍とは?できものが気になったら
皮膚にできる「できもの」や「しこり」には、粉瘤(アテローム)や皮膚腫瘍と呼ばれる良性・悪性のさまざまなタイプがあります。
見た目は似ていても、性質や治療方法が異なるため、正確な診断が重要です。
粉瘤(アテローム)とは?
粉瘤とは、皮膚の下に袋状の構造(嚢胞)ができ、中に老廃物や角質がたまっていく良性腫瘍です。
顔、背中、耳の後ろ、首、陰部など体のどこにでもできる可能性があります。最初は小さなふくらみですが、徐々に大きくなることがあります。
炎症や感染を起こすと赤く腫れたり、膿が出ることもあります。自然に治ることは少なく、治療には摘出手術が基本です。
皮膚腫瘍とは?
皮膚腫瘍とは、皮膚にできる「しこり」や「できもの」の総称で、良性から悪性までさまざまな種類があります。
代表的な良性腫瘍:脂肪腫(皮下にできるやわらかい脂肪のかたまり)、イボ(ウイルス性・加齢性など)、ほくろ(色素性母斑)、老人性疣贅(加齢による皮膚の隆起)
悪性腫瘍の可能性があるもの:基底細胞癌(高齢者に多いが転移しにくい)、有棘細胞癌(紫外線や外傷が原因のことも)、悪性黒色腫(メラノーマ・早期発見が重要)
原因
皮膚にできる「できもの」は、日常生活での摩擦や刺激、体質や加齢など、さまざまな原因で発生します。
1.粉瘤(アテローム)の原因
- 毛穴の詰まり ・・・皮脂や角質が皮膚の下にたまることで、袋状の構造が形成されます。
- 外傷や炎症のあと・・・傷やにきび、手術痕などがきっかけで皮膚の奥に角質が入り込むことがあります。
- 皮膚のターンオーバー異常・・・皮膚の代謝バランスが乱れることで、古い角質が排出されずに蓄積されやすくなります。
- 体質・遺伝的要因・・・粉瘤ができやすい体質の方もおり、複数できることもあります。
2.皮膚腫瘍の原因(良性・悪性含む)
- 紫外線(UV)・・・長年にわたる日光の影響により、皮膚の細胞が変異し腫瘍化することがあります(特に顔・手など)。
- 加齢・・・皮膚の老化によって細胞の分裂異常が起こりやすくなり、良性腫瘍(老人性イボなど)が増える傾向があります。
- ウイルス感染・・・ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因のウイルス性イボなどがあります。
- 慢性的な刺激・摩擦 ・・・ベルト、衣類、義足などの接触部分に、繰り返しの刺激で腫瘍ができることがあります。
- 遺伝的な素因・・・家族に皮膚がんの既往がある場合は、注意が必要なこともあります。
粉瘤(アテローム)の症状
・皮膚の下にやわらかく丸いしこりができ、表面は皮膚色または少し赤みを帯び、中央に黒い点(開口部)が見えることもあります。
・ゆっくりと大きくなり、痛みはないことが多いです 。初期は無症状ですが、放置すると炎症を起こすことがあります。
・炎症を起こすと赤く腫れて強い痛みが出る。細菌感染を伴うと、膿がたまり、破れて膿が出ることもあります。
・再発を繰り返すことがあり、一度治っても、袋状の構造(嚢胞)が残っていると再発する可能性があります。
皮膚腫瘍の症状(良性・悪性共通)
・皮膚にできた「できもの」「しこり」「いぼ状の隆起形状」や色、大きさはさまざまで、急に大きくなったり、色が変わったりすることがあります。
・かゆみ・出血・ただれがあることも。とくに悪性の可能性がある場合は、繰り返す出血や潰瘍として現れることもあります。
・境界が不明瞭な黒いほくろやしみ、。色ムラ・不規則な形・急なサイズ変化などは要注意です。
検査・診断方法
医師による視診・問診・ダーモスコピー検査・超音波検査・細胞診・組織検査をおこないます。良性にみえても自己判断せず
当院の治療法
粉瘤や皮膚腫瘍は、症状の進行度や性質(良性・悪性)によって治療方針が異なります。基本的には、しこりを外科的に切除する治療が中心となりますが、状態によっては経過観察を行うこともあります。
◇粉瘤(アテローム)の治療
- 炎症のない場合(通常の粉瘤)
手術による摘出が基本です。袋ごと取り除くことで、再発を防ぎます。 日帰りで行える局所麻酔下の小手術が一般的です。 - 炎症・感染を起こしている場合
赤く腫れて膿がたまっているときは、まず切開して膿を出す処置(切開排膿)を行います。 炎症が落ち着いた後に、改めて根本治療として摘出手術を行うことが多いです。
◇皮膚腫瘍の治療
- 良性腫瘍の場合
外科的切除が基本。必要に応じて病理検査を行い、性質を確認します。 小さなものは局所麻酔での日帰り手術が可能です。 - 悪性腫瘍の場合(皮膚がんなど)
がんの種類や深さに応じて切除範囲を決定します。 周囲の正常組織を含めて広めに切除し、転移のリスクがある場合は追加治療(放射線・抗がん剤)が検討されます。
◇その他の対応
- 経過観察
急激な変化がなく、良性と考えられる場合は、定期的に経過を観察する方針になることもあります。 - 美容的観点の配慮
顔や露出部のしこりは、なるべく傷跡を小さく目立たないように配慮して手術が行われます。
粉瘤・皮膚腫瘍の治療に用いられる主な薬剤
◇粉瘤(アテローム)の薬物治療
※基本治療は手術(摘出)であり、薬剤は炎症・感染時に一時的に使用されます。
① 抗生物質(感染・膿瘍がある場合)
- 内服薬 セフェム系抗生物質(例:セフカペンピボキシル、セフジニル)、マクロライド系抗生物質(例:クラリスロマイシン)、ペニシリン系(例:アモキシシリン・クラブラン酸)
- 外用抗菌薬 ゲンタマイシン軟膏、フシジン酸ナトリウム軟膏(フシジンレオ軟膏)、ムピロシン軟膏(バクトロバン)
② 鎮痛・抗炎症薬(炎症時の痛み・腫れ緩和) ロキソプロフェン(ロキソニン)、アセトアミノフェン(カロナール)
◇ 良性皮膚腫瘍に対する薬剤
良性腫瘍は原則薬剤による治療は行われず、外科的切除が基本です。
● イボ(尋常性疣贅・ウイルス性)
- 外用薬 サリチル酸製剤(角質を軟化し除去) イミキモド(免疫応答を高める)
- 冷凍凝固後のケア 抗炎症薬や抗菌薬の外用(保護・感染予防目的)
自宅でのケア・注意点
皮膚にできる「しこり」や「できもの」は、自己判断でつぶしたりいじったりすると悪化するリスクがあります。
◇ 自宅でのケア
- 触らず、清潔を保つことが最優先:粉瘤や腫瘍は無理につぶすと炎症・感染の原因になります。清潔な状態を保ちましょう。
- 赤みや腫れがある場合は冷やす:炎症時は、冷タオルや保冷剤で軽く冷やすことで痛みが緩和されることがあります。※ただし、強く冷やしすぎないよう注意。
- 入浴・洗顔はやさしく行う:強くこすらず、泡でやさしく洗うようにし、清潔を維持しましょう。
- 術後は医師の指示に従った処置を:手術を受けた場合は、処方された薬の使用・ガーゼ交換・通院指示を守ることが重要です。
◇注意点
- 粉瘤や腫瘍を押し出さない・切らない:自己処理による破裂は感染・炎症を悪化させ、跡が残るリスクがあります。
- 市販薬は安易に使わない:特に化膿止めやステロイド外用薬は症状に合わない場合、悪化することもあるため、医師の診断が必要です。
- できものが大きくなる、痛む、膿が出るときは受診を:こうした症状がある場合は、治療や手術が必要になる可能性があります。
- 皮膚腫瘍の変化には注意:「急に大きくなった」「出血する」「色が変わった」などがあれば、悪性の可能性もあるため、早めの診察を。